駅前の不動産屋さんの前を通ると、
仲介手数料50%割引!などの旗があったりますよね。
仲介手数料について、こんな質問をいただきました。
仲介手数料って良く聞くけど
そもそも何のお金なんですか?
仲介手数料か…
まあまあ負担が大きいんですよね
仲介手数料を抑える方法って
ありませんか?
仲介手数料は、契約の初期費用です。
できるだけ初期費用を抑えたいのは、
誰もが思うことです。
今回のお悩みを整理すると、こんな感じです。
・仲介手数料をできるだけ抑えたい
⇒ 仲介手数料について知りたい
こちらのお悩みに対しての回答は、
『交渉するか、仲介手数料なしの会社に頼む』
です。
早速説明していきます。
◆この記事を書いているのは…
■大阪府出身・東京都在住
■不動産売買(土地・建物)営業:約4年
■賃貸不動産営業・管理 :約7年
今までで500組以上の方々の
お部屋探しをお手伝いしてきました。
自分の部屋探しの経験も踏まえて解説!
仲介手数料とは
『 そもそも仲介手数料とは何か? 』
仲介手数料を安くしたいけど
そもそも仲介手数料って何?!
仲介手数料は取引が成立したときに
仲介不動産会社に支払う
成約報酬のことです!
思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
取引が成立した時点で支払う成功報酬です。
この仲介手数料の支払先は、仲介している
不動産会社です。
貸主(オーナー)と借主の契約が、まとまることです。
お部屋を誰かに貸したい貸主(オーナー)と、
お部屋を借りたい借主の間に、
不動産会社があります。
図で表すとこんな感じです。
その取引が不動産会社が仲介したことで、
しっかりと契約が成立。
その後、不動産会社は貸主・借主から、
報酬をもらえます。
『 なぜ借りる人だけが仲介手数料を支払うのか 』
さっきの図を見て良く分からないんですけど
どうして借りる人だけが、仲介手数料を
支払うんですか?!
絶対に借りる人が支払わなければ
ならないとは決まってません!
なぜ仲介手数料は、借りる人が
負担するのか?
こんな疑問も出てくるかと思います。
実は仲介手数料は、
必ず借りる人が支払わなければならないと、
定められていません。
ただ!
私の経験上、貸主(オーナー)が支払らう契約を、
見たことがありません。
『 仲介手数料の計算方法 』
仲介手数料っていくらなんですか?!
賃貸の場合の仲介手数料の
上限は家賃の1カ月分です!
仲介手数料の上限は、家賃の1カ月分です。
また、仲介手数料には消費税がかかります。
例えば、家賃7万円の物件の場合を考えます。
仲介手数料は、家賃7万円の消費税なので、
上限は、70,000円×1.1%=77,000円
となります。
ここで重要なのが、
『上限』が家賃1カ月分という点です。
つまり、1カ月以上貰ってはダメだ、と言うことですね。
無いとは思いますが、不動産屋さんから、
1カ月以上請求されたら違反です!
また、この上限1カ月は、
その契約において、仲介手数料と名の付くものを、
すべて集めたものを対象としています。
例えば、貸主から0.5カ月分もらったら、
借主からは、0.5カ月分までしかもらえません。
これで合計1カ月分です。
では、ここでテストをしてみましょうか。
下記イラストの場合は、違反か違反ではないか。
トライしてみてください!
この場合はどうでしょうか?
正解は「違反」ですね。
借主から1.0カ月分、貸主から0.5カ月分、
合計1.5カ月分もらっています。
合計が1カ月分を超えるので違反ですね。
これはちょっと簡単でしたね。
では次の問題!
こちらはいかがでしょうか。
正解は…「違反でない」です。
借主から1カ月分、貸主から0カ月分なので、
合計1カ月分となり、違反ではありません。
ただし、条件があります。
実はこのように一方のみから、
仲介手数料を受領する場合は、
依頼者の承認が必要です。
この場合、借主に
「1カ月分もらいますよ」と承認をもらいます。
ただ実務では、
「貸主から仲介手数料はもらわず
借主であるお客様から1カ月分もらいますね!」と
丁寧に言われることはまずありません。
普通に何も言われず、1カ月分請求されます。
「え!依頼者の承認が必要なんじゃないの?」
と思いますよね?
この承認は、重要事項の説明に入っています。
だいたい、重要事項説明の最後の方に、
仲介手数料1カ月とか書いてあります。
そこも説明されて、署名捺印しているので、
承認とみなされています。
仲介手数料をできるだけ抑える方法
『 仲介手数料をできるだけ抑える方法 』
今までの話を聞く限り、
借りる人が1カ月分を支払う
必要があると思った方が良いのね。
そうとも限りません。
色々な方法がありますし
最近では新しいタイプの
物件も出てきていますよ、
『仲介手数料をできるだけ抑えたい』
誰でも思う願望だと思います。
色々な方法がありますので、
いくつか分けてご紹介します。
『 交渉する 』
一つ目の方法は、
『交渉する』です!
交渉ってハードル高そう・・
まずは、最もオーソドックスな方法です。
それが交渉するということです。
仲介手数料の交渉に関しては、
3パータンあります。
②貸主が支払うお金が多くなる
③交渉失敗して借主が1カ月分支払う
この3パターンです。
仲介会社に入ってくるお金が少なくなるケース
これは、元々借主から1カ月分もらうはずが、
最終的に、0.5カ月分などになった場合です。
残りの0.5カ月分は、オーナーから
もらえば良いんじゃないの?と、
思う方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、これは付き合いの問題になります。
その物件がかなりの人気物件であり、
オーナーがその仲介会社にしか
募集を任せていなかった場合、
オーナーに「仲介手数料を支払って下さい」と、
言ったらどうでしょうか?
「別におたくに任せなくても良いから
他の会社に頼むわ」と言われる可能性もあります。
今後も付き合っていく上で、
オーナーに強く言えないので、
仲介会社が、自分の会社が妥協するということです。
貸主が支払うお金が多くなるケース
これは、先ほどの①の場合と異なり、
オーナーの立場が弱い場合でしょう。
すべてのオーナーさんが、
仲介会社よりも、力が強いわけではありません。
オーナーさんも、生活がかかっている為、
絶対に空室を無くして、満室にしたいと
思っています。
あと残り1部屋で、満室になるというときに、
最後のお客様が見学され、
かなり気に入っている様子だとしましょう。
このお客様は、仲介手数料を抑えたいと
仲介会社に交渉しました。
仲介会社も商売ですから、
仲介手数料を安くすることには、
乗り気ではありません。
そこで、この物件のオーナーである、
あなたに連絡が来ました。
「先日見学された方が気に入っているが
仲介手数料を交渉したいと仰っています・・」
そこでオーナーのあなたはどう考えるでしょう?
だいたいの方がこう考えます。
この仲介手数料0.5カ月分は、
このお客様が半月入居してもらえれば
回収できると。
そして、長い期間入居してくれれば
安定的に家賃が入ってくると。
こうして交渉の結果、
借主0.5カ月分、貸主0.5カ月分で契約がまとまりました。
交渉失敗して借主が1カ月分支払うケース
こちらは、交渉失敗の結果です。
おそらく交渉して、この③になるケースが、
最も多いと思います。
これは、私の実務経験も踏まえてお話しします。
お客様から「仲介手数料を安くしてほしい」と
言われた場合、私であれば断ります笑
もちろんバッサリと「無理です」と、
言うわけではありません。
これは、こちらからしても交渉です。
この交渉の話が出るということは、
少なからずその物件を気に入っているはずです。
ですので、この場合はこう言います。
■「その間に、仲介手数料の交渉なくお申込みされるお客様がいらっしゃるかもしれません」
■「その場合は申し訳ございませんがそちらの方が優先となります」
このようにお伝えすると、
本気で気に入っている人は、
他の人に取られたくないので、
交渉をやめて申込されます。
それでも交渉してくる方は、
交渉せずに、だめだったとお伝えします。
①~③の各ケースがありましたが、
総じてお話しすると、
交渉は、かなりハードルが高いということです。
『 貸主物件を狙う 』
2つ目の方法は『貸主物件』です!
貸主物件?!
仲介手数料は仲介の会社が
間に入るので発生します。
逆を言えば、
仲介会社が間に入らなければ
仲介手数料は発生しません。
それが『貸主物件』です。
え?貸主物件って全部貸主物件じゃないの?
そう思った方も多いと思います。
貸主物件とは、貸主との直接の契約となり、
仲介会社が入らず、仲介手数料が発生しません。
どこを見れば貸主か分かるかと言うと、
販売図面のこの部分です!
赤枠で囲ってある箇所が見えるでしょうか。
『 取引態様:専任媒介 』
と書いてあります。
『媒介』というのは、仲介のことです。
この物件の場合は、左下に書いてある、
しま不動産が、仲介会社で入るということです。
この取引態様が『貸主』となっていれば、
貸主物件となります。
先ほどの『交渉する』ことと比べると、
この取引態様の部分を見るだけなので、
ハードルはかなり下がります。
ただ、デメリットがあります。
それは物件が少ないということです。
貸主物件は主に、
不動産会社が貸主の物件になります。
上記のような感じです。
この場合、不動産会社は貸主であり、
間に仲介会社が入っていないので、
仲介手数料は発生しません。
では、次の場合はどうでしょうか?
この場合も、間に仲介会社が入っていないので、
仲介手数料はかかりません。
でもこのままで良いのでしょうか?
不動産の契約は色々な法律が関わり、
専門的な知識も必要です。
契約後にトラブルが
起こることもあります。
言葉は悪いですが、
そんな契約を、素人同士が
結べるでしょうか。
オーナーからしても後々、
何か言われると恐いので、
ほぼ100%、仲介会社に依頼します。
その為、物件数は少なくなります。
『 仲介手数料が安い会社に頼む① 』
うーん・・
いくつか方法を聞いたけど
難しそうだな・・
ここで紹介する3つめの方法が
一番現実的な方法です!
3つ目は『仲介手数料が安い会社に頼む①』
というものです。
最近、「仲介手数料なし!」や、
「仲介手数料半額!」と、
謳っている会社が、多くなってきました。
その会社を利用する方法です。
でも仲介手数料なしの物件って
あんまり良くない物件って聞くけど・・?
確かに昔はそのような物件もありました
ただ最近は純粋に仲介手数料を取らない
という会社が増えてきています!
理由はいくつかあります。
インターネットも、そんなに普及していない時代。
お部屋探しは、駅前の不動産屋に行って、
資料を出してもらい、見学に行っていました。
不動産屋からしても、1つの契約を取るのに、
何日もかけて案内し、契約書類を作り、
重要事項の説明をし、契約をしていました。
今と比較すると、とても効率が悪いです。
もう今の時代のお部屋探しは
だいたいネットで完結できてしまいます。
最も大きいのは、IT重説です。
従来は、重要事項説明と言えば、
面前で宅地建物取引士が説明しなければ
ならないものでした。
今は、ネットでできます。
物件を探すのもネットでできますし、
資料を送るのもメールやライン、
質問もチャットで出来ます。
そうなると、駅前の良い立地に、
店舗を構える必要がなくなります。
そうなるとコストが削減できます。
まずこれが一つ目の理由です。
次の理由が、「悪しき慣習の改善」です。
お部屋探しをする側だと、分からない部分です。
先ほど仲介会社は「貸主と借主」合わせて、
合計1カ月分までしか仲介手数料を
もらってはいけないと説明しました。
実質、借主から家賃の1カ月分の、
仲介手数料をもらっているわけですが、
実は貸主からももらっています。
それが『AD(広告料)』というものです。
お客様に見せない販売図面に、
「AD1カ月」とか「AD相談」とか書いてあります。
これはオーナー側からAD(広告料)を
支払いますよというものです。
つまり、不動産仲介会社は、
AD1カ月の物件だと、
■借主から仲介手数料1カ月
■貸主からAD(広告料)1カ月
合計1カ月分もらっています。
え?!貸主と借主合わせて1カ月じゃないの?!
そうです!仰る通り。
正直これはグレーな部分です。
ただ現実に今も行われています。
しかし、最近、少しずつ変わってきました。
貸主から取るんだったら、
借主から取らなくて良いんじゃないか?
仲介手数料なしで差別化しよう!
このような不動産会社が出てきました。
これが『仲介手数料なし』と、
謳っている不動産会社です。
このような会社は、
実店舗を持たずコストを抑えて、
かつ仲介手数料なしで、他社と差別化を図り、
借主ではなく、貸主から仲介手数料を
もらっているということです。
昔は貸主が、とても強かったですが、
今は空き家が多くなったりして、
だんだん弱くなってきているというのも
背景にあります。
『 仲介手数料が安い会社に頼む② 』
最後の方法をご紹介します
仲介手数料が安い会社に頼む?
そうです!
この②はほんとに奥の手というものです!
最後の方法をお伝えします。
『仲介手数料が安い会社に頼む②』です。
先ほどの①は、お部屋探しの最初の段階から、
仲介手数料が安い会社に、頼むというものでした。
こちらの方法は、『途中から』です。
最初は、特に会社を指定せずに探します。
その後、良さそうな物件が見つかり、
申込するかしないかの段階で、
仲介してもらう会社を変更するものです。
え!途中で会社を変えるのは、何だか申し訳ない・・
そう思う方も多いでしょうね
でも、仲介手数料が安くなる会社や無料になる会社が、
多くなってきている時代です。
そこを他社との差別化として、
売りにしている部分もあります。
物件もそうですが、お願いする会社も、
自分で取捨選択する必要があります。
やり方としては、良い物件が見つかったら、
仲介手数料が安い会社に連絡して、
その物件を仲介手数料を1カ月よりも、
安くやってくれるか聞くだけです。
気を付けることが2点あります。
1点目が『全ての物件が適用にならない』ことです。
仲介手数料が安くなる会社でも、
安くならない物件もあるかも知れません。
また、物件をその会社だけが紹介している
という物件もあります。
その場合は、気に入った物件であれば、
家賃の1カ月分の仲介手数料で、あきらめましょう。
2点目は『申込する前に行う』ことです。
申込する際は申込書を書いて、
仲介会社に出します。
その後、仲介会社から貸主へ渡ります。
その後に仲介会社を変更して、
別の会社で再度申込書を出したとします。
そうすると、再度申込書が貸主に届きます。
貸主からすると、あれ?同じ人からまた申込書が
届いたな・・となります。
その場合、貸主の心象が悪くなることもあります。
だいたいは大丈夫なケースが多いですが…
不動産会社も繋がっている可能性があるので、
申し込み後に変更するのは、やめておきましょう!
まとめ
結局は一番良い方法は?
一番良い方法は
『最初から仲介手数料が安い会社に頼む』
ことでしょう!
仲介手数料をできるだけ安くする方法を
お伝えしました。
最も良い方法はやはり、
『最初から仲介手数料が安い会社に頼む』
というものでしょう。
昔はそういった会社が少なく、
そうなると物件も少なかったですが、
今は違います。
仲介手数料が安い会社が増え、
それに伴い物件数も増えました。
交渉する労力や、
交渉の結果がどちらに転ぶか分からない。
そういうことを考えると、
最初から、そのような会社を選ぶのが、
良い方法だと思います。